独りで外を歩きたい。方向を変える時、右側や後ろ向きに転倒するから出来ない。顔を洗って身体を起こす時に、後ろ向きに転倒する。
admin2024-08-06T02:25:35+00:00施設名:アシストジャパン デイサービスセンター7号館
サービス提供地域:高知
70歳:男性
現病歴/既往歴:進行性核上性麻痺(H30.8) 心不全 糖尿病 高血圧 視野狭窄
2階建て住居の1階で生活されている。門から玄関まで7段の手すり付き階段。洋式トイレ。トイレ・浴室・洗面台・ダイニングのドア付近に手すり。ソファーとベッドにタッチアップを設置。奥様と2人暮らし。
主訴
肩・膝・腰・左の太ももが痛い。
ニード
独りで外を歩きたい。でも、方向を変える時、右側や後ろ向きに転倒するから出来ない。顔を洗って身体を起こす時に、後ろ向きに転倒する。
家族
ゆっくり歩くように、意識するように、声かけはいつもしている。それでも転倒している。転倒時腰を痛めないで介助したい。
<評価・運動療法>
評価
立位は、股関節膝関節屈曲位で、体幹は前傾姿勢。
①歩行は、歩幅が狭く重心が後方偏位。
触診では、体幹前部側部上部後面及び胸鎖乳突筋や後頚部の緊張亢進と右上腕二頭筋から回内方向の短縮
運動療法
体幹及び頚部と右上肢等は、リラクゼーションにて筋緊張軽減。
②左右への重心移動することでバランスの改善。
③前腕支持と膝関節を屈曲することで、体幹・股関節の伸展を行う。
④大きく下肢を前に踏み込むことで、股関節の伸展の可動域を増す。
⑤つま先立ちを行うことで、体幹が伸び股関節を伸展。
⑥後ろ歩きにて、下肢を大きく上げ股関節伸展が増す。
ご本人様より、「左の太ももの痛みが取れた。身体が軽くなり動きやすくなった。」と話される。
まとめ
本症例は、自宅や外出先で同じ動作時に転倒が増えてきた男性である。立位では股関節膝関節の屈曲位で、体幹前傾姿勢。歩行時歩幅が狭く重心が後方変位。股関節の伸展不足が影響しているのではないかと考えられる。
また、左に重心が変位している。右側の支持性が乏しいと考えられる。②左右への運動療法により右にも重心が乗り、体幹側部の緊張もほぐれストレッチ効果があった。体幹のバランスが整ったと考えられる。
次に③④⑤の体幹と股関節の伸展により、重心後方変位も改善できた。前傾姿勢がさらに軽減し、股関節膝関節が伸展できた。⑥後ろ歩きで、体幹と股関節を伸展し膝を高く上げ歩幅が拡張され、後方への下肢のステップが出来るようになった。
これらのことから、身体の動かし方と重心バランスを学習していくことで、転倒が少なくなると考えられる。
2019年12月15日 症例検討会