左膝に痛みがあるため、日常生活に障害を来している
admin2024-07-29T07:05:22+00:00施設名:アシストジャパン デイサービスセンター7号館
サービス提供地域:高知
88歳:女性
既往歴:アルツハイマー型認知症・高血圧・不整脈・下肢に浮腫
医師から激しい運動はしないようにという指示があり、左膝に痛みがあるため、日常生活に障害を来している方です。家族からは、2階玄関まで上がってもらわないと生活出来ないので、体力が落ちないように運動をしてもらいたい。との事でした。
生活環境は、2、3階住居。2階玄関まで外に高さ20cmの段が13段あり両側に手すりが設置されている。本人からは、階段の上がり降りは膝が痛いし、転げそうで怖いと訴えがありました。
①右手で杖を持ち歩行され、方向転換時に動揺が見られ左下肢に痛みがある。階段昇降時は、右足で上がり右足で下りる独自の下り方をしている。
②円背姿勢 ③膝蓋骨と脛骨粗面の位置右側が長く完全に膝が伸展できない。
運動療法
左側骨盤と大腿骨骨頭外旋で引き上げられており、筋緊張が高くリラクゼーションにて緊張を落としていくと痛みが減少してきました。
次に右腰部と下肢の痛みを訴えられ、右腰部と下肢の短縮・骨盤と大腿骨位置の崩れを正常な位置に修正します。
④股関節外転10度で痛みが強く少し角度を内転させ、股・膝関節の屈曲伸展をご自分で行ってもらいました。
筋緊張の軽減と下肢の可動域が拡大し痛みも減少しました。これにより、筋出力を学習してもらうことで、荷重と支持性を体験していきます。
運動療法後の評価
⑤左手での杖歩行が安定し、⑥⑦正常な踏み台昇降が行えている。⑧体幹のバランスがとれ円背姿勢がとれている。⑨膝蓋骨と脛骨粗面の位置の長さが上下短くなり正常な位置に修正。
まとめ
今回の症例では、左膝の痛みや浮腫みが強く、踏み台昇降で右足で上がり右足で下りる通常では見られない動作を行っていました。
アプローチが進んでいく中で、左側の筋緊張と痛みを減少することができ、本来の右側の痛みを自覚されました。
右骨盤と大腿骨頭の位置や右膝蓋骨と頸骨粗面の長さからも、右下肢の筋力低下と支持性の低下の問題点が見えてきました。
右に荷重をかけない様に左で支える為、円背姿勢など代償により本来の痛いところがわからなくなっていたと考えられます。
訴えの強いところからアプローチを行っていくことで、本当の原因が判断できました。
今後は、右下肢での動きが出せるセッティングと筋出力・荷重と支持性を体験してもらうことで、正しい杖歩行と階段昇降を無理なく身につけることができると考えています。
平成30年6月17日 症例検討会