施設名:アシストジャパン訪問看護ステーション香川
サービス提供地域:香川
対象箇所:呼吸器(肺)
傷病名:肺がん後下葉切除,気胸,COPD,気管支喘息,狭心症,歩行後のSpO₂低下及び呼吸困難
リハビリの目的:呼吸訓練によるSpO₂低下予防,歩行訓練
内容:
在宅酸素療法(HOT)導入済みで安静時O₂1.75リットルを使用していたが血中酸素濃度(SpO₂)は72%で安静時の低酸素状態が顕著であった.安静時の呼吸回数は24回/分で,浅く速い呼吸が目立っていた.呼吸困難の訴えはなかったが,口呼吸が優位となっており,鼻からの酸素は上手く吸入することができていなかった.
本人の希望は歩けるようになりたいとのことであったが,動作による呼吸困難は非常に強かった.また,低酸素状態のため積極的な歩行訓練の実施は困難であった.
リハビリでは,呼吸訓練を重点的に実施した.口呼吸が多いため,鼻からの吸気の意識付けを行った.浅く速い呼吸により,肺の残気量が多く肺の過膨張を呈していたため,口すぼめ呼吸によって肺の中の空気をしっかりと吐き出すように指導も行った.
呼吸訓練によって呼吸回数は16~18回/分と改善が見られた.呼吸回数の減少により,一回の呼吸で多くの酸素を取り込むことができるようになりSpO₂は96%にまで改善が見られた.
安静時のSpO₂に改善が見られたが,歩行訓練後はSpO₂の低下が見られたためベッド上での筋力強化訓練によって歩行に必要な下肢筋力の向上を図る事にした.この時,下肢の運動と呼吸方法もあわせて指導を行い,呼吸と動作の同調を促した.
下肢の動作と呼吸を同調させることでベッドサイドでの運動であればSpO₂90%を維持した状態で運動療法が実施可能となった.下肢の筋力強化を継続し,さらに呼吸状態が改善すれば歩行訓練を再開できる状態にまで機能改善が見られた.