両親の願い:トイレ動作の自立。立位での下衣動作・本人の願い:パソコンをやりたい。メイクしたい。
admin2024-10-23T04:59:24+00:00症例検討会 2024年10月6日(アシストジャパン7号館)
脳性麻痺 13歳 女児
診断名:PVL
障害名:脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)
在胎週数:29週1日、1051ℊ
両親の願い:トイレ動作の自立。立位での下衣動作
本人の願い:パソコンをやりたい。メイクしたい。
本人の主体性を生かし、OTのアクテビティの活動、PTが姿勢コントロールを調整する役割を担いセラピーを実施。
治療目標:安定した座位姿勢にて両手を前方へリーチし道具操作へつなげる
全体像:車椅子使用。色々興味関心があり年頃でチャレンジ精神がある。
体幹前面筋低緊張により、上部体幹屈曲し努力的に上肢を使用。上部体幹屈曲し、僧帽筋の過緊張により肩甲骨の挙上、肩関節内旋位となり上肢操作時のコアコントロールが高まらず、右方向へ崩れやすい。骨盤は後傾し両側腹部の短縮がみられていた。
① 体幹と骨盤のアライメント調整上肢活動への準備として、広背筋および腹斜筋群の可動性を引き出していく。前もたれ膝立ち姿勢にて、左右への体重移動を行い骨盤左右傾斜、股関節伸展活動を促し、胸郭の運動性を引き出していった。体幹の伸張と回旋運動を繰り返し行うことで、上腕から広背筋間の可動性を引き出すことができた。骨盤の上に体幹が対称的にアライメント修正できると、腹横筋、内外腹斜筋の活性化がはかれ末梢の過緊張も軽減し、手掌での支持が可能となった。
② 上肢での活動(座位から立位へ)
前もたれ立位では、骨盤後傾位と腰椎前わんがみられている。バランスを崩さず本人自らが動いた感覚をフィードバックできるように、介入が他動的にならないように配慮した。下部体幹、殿筋群を活性化し上肢支持の安定性と頭部のコントロールを促していった。
斜視があり左単眼にて物をとらえており、マネキュアを塗る活動の際、「見えにくい」といわれていた。本人の右側方から OT は介入し肩甲帯の安定を保障し、上肢を前方へリーチし本人の動きをサポートしマネキュアをぬる活動を実施。
「何指に塗る?」と声掛けし、本人が指を伸ばしたタイミングで「中指?」とOT が声をかけ注視させ焦点化すると課題に取り組むことができた。
指先の感覚はわかりにくいが、自分で持っているマネキュアを落とすのがこわいという言葉もきかれその際には、少し手指に力が入る場面もみられていたが、姿勢が崩れることはなく、随意的な活動が手指の識別の向上につながり本人のモチベーションアップがみられた。
③ まとめ
本人のやってみたい活動であるマネキュアを塗るという活動に取り組みアプローチを実施した。両広背筋の短縮や右側肩甲帯の不安定さにより、手関節、手指のコントロールの能動的な探索は未成熟であったため、学校での書字(左手)やパソコン操作時には、努力的となり非対称な姿勢となっていた。
学校では左手で書字する場面も多く、支え側となる右上肢と体幹の安定性と運動性が注意や課題への集中への影響となっている。今回治療場面で、右手の末梢からの感覚向上のため、丁寧に指先の皮膚や手内筋活動を提供していくことで体幹や頭頚部、また眼球運動のコントロールへとつながっていった。
右手を手がかりにしながら、移乗動作を行うなど右手で支える場面などもあると日常生活のなかで習慣化していくことが可能となっていく。
本人も、症例検討会後も学校教諭と介入を実践し「右手が柔らかくなった」「文字がきれいにかけた」と述べられ自分の身体状況のアウトプットができ身体図式の構築ができている。
本人、母親、セラピスト、学校教諭、ヘルパーと症例の課題について共有しPT、 OTの役割課題をそれぞれ考え意見交換しながら症例検討会をすることで、本人のモチベーションもアップした。職種間連携も図りきめ細やかな介入とチームワークの大切さが必要であると感じた。