立脚期において、麻痺側の足部が内反尖足となり、適切に接地できない
admin2024-08-05T07:13:32+00:00施設名:アシストジャパン デイサービスセンター3号館
サービス提供地域:松山
50代:男性
既往歴:脳出血、右片麻痺
本症例は、脳出血、右片麻痺の50代の男性です。弊社の訪問リハとデイサービスを利用されています。
検討内容としては、歩行機能の評価とリハ内容の見直しでした。
本症例の歩行における一番の特徴としては、立脚期において、麻痺側の足部が内反尖足となり、適切に接地できないということでした。
立位場面や立位から膝を屈曲させる際も踵が浮きやすく、自己修正が困難でした。
またそれに対しての気づきや身体イメージも乏しい印象で、立位での足底接地を徒手で誘導すると、足底筋や下腿三頭筋の伸張痛が伴ないました。(図1、2)
臥位になり著明だったのが、股関節屈筋群の短縮のため伸展位がとれず、体幹から足部にかけても全体的に筋の長さが乏しい状況でした。
そのため骨盤の下制が困難で、足底接地をより困難にしていました。
下腿から足部にかけては、圧痛が強く、合併症として内臓疾患があり、それによる代謝障害も一要因として考えられました。
まず、徒手的に筋の短縮改善を図り、立位ではつま先立ちを課題として、伸展性の向上を図りました。(図3、4)
リハ前は「麻痺側の手足は動かない」との自己認識でしたが、課題を通して筋の出力があり、日常的な不使用の問題が伺えました。
そこで、立ち座りや立位の場面において、麻痺側足部の接地を徹底的に促し、身体イメージの再構築を図りました。(図4、5)
当初は足底接地のイメージがつかみにくいようでしたが、繰り返し行うことで自己修正が可能となっていきました。
最終的な歩行では、麻痺側足部が接地しやすくなったことで、「歩きやすくなった」とのお声を頂きました。(図6)
全体的な歩容としては、まだ屈曲位が残っており今後の課題となりますが、今回の症例は日常的に麻痺側足部が適切に接地されないまま、動作を遂行しているため、不使用を助長していることが大きな問題でした。
当面の課題としては、立ち座りや立位場面で適切に足底を接地していく機会を作っていくことを、本症例及び担当セラピストと共有しました。
2019年4月21日 症例検討会