発症後、経年変化した症例の装具の不具合を、「いかに、能力にあった装備品にしていくか?」
admin2024-08-05T06:49:43+00:00施設名:アシストジャパン 訪問看護ステーション
サービス提供地域:松山
今回は、発症後、経年変化した症例の装具の不具合を、「いかに、能力にあった装備品にしていくか?」という問題で考えてみたいと思います。
このケースは、2017年9月から訪問リハビリ週1回40分で開始し、2019年2月現在に至る方です。
当時は、裸足においては足関節内反傾向となり歩きづらく、また装具着用の場合は、下腿まで装具で覆われているタイプであるため、膝関節の自由度が制限され、いわゆる分回し歩行を呈していた症例でした(写真①)。
今回、元々同じ装具(SHB:膝までの装具)を二つ持参されていたため、技師装具師の方とPTが歩行を確認し議論した後、試験的に下腿を覆っていた部分をカットし、S-SHBにしました。
顕著なのは、写真②のように分回しではなく、歩幅が大きくなり、膝の振り子の作用が見られ始めたことです。
これにより、1.長い距離でも疲れにくくなった、2.歩行の際、麻痺側足裏の筋肉(足底筋膜)に疼痛がよく見られていたが軽減した(本人の訴えも含む)、ことが挙げられます。
また、運動療法後(具体的には、左肩甲骨周囲の緊張の調整⇒体幹伸展筋と股関節伸展の促通を腹臥位で実施(写真⑤.⑥))の写真③、④では、②と比較し、頭頸部・体幹が伸展しているため、より歩行速度が向上し、本人もその効率性を確認することができました。
この経験を通し、「退院直後に合わせた装具であったとしても、数年経過した症例においても、常に同じ装具の作成を考えるのではなく、身体機能や歩容などを確認したうえで装具の検討を何らかの形で行う必要性がある」と結論付けられます。
「だんだん歩きにくくなってきた」「装具をつけていないと歩けない」「(今履いている以外の)装具を試したいが、どこに相談すればよいかわからない」「常に(話し合うこともなく)同じ装具を作っている」等このような問題を日常的に抱えている症例の訴えをよく聞きます。今回の取り組みは、このような現場の声からの出発でした。
アシストジャパン無料相談会では、現在使用されている装具におきましても、身体機能と併せた上で、自身の装具が現在の生活状況に即しているかについてのご相談を今後検討していきたいと考えております。(嶋崎 賢剛)
2019年2月11日 症例検討会